第三世代のミラーワールド

ミラーワールドで世界の残りすべてがデジタル化される

第一世代のwebでテキストがハイパーリンクされ、世界中の情報が繋がった。第二世代のソーシャルメディアで個人がメディアになり、ソーシャルグラフにより人が繋がった。そして第三世代のプラットフォームが幕を開けているという。今年ケヴィン・ケリー氏が発表したエッセイでは、ミラーワールド*1と名付けられている。いろいろな"3"の話を見聞きしたけど、一番しっくりきたので記事にしてみたい。

ミラーワールドとは、カメラやセンサーで大量の現実世界(フィジカル)の情報をインターネットにアップロードして現実世界をミラーリングして作ったバーチャル世界のことを指している。バーチャル世界に現実世界の区画一つ一つがマッピングされた状態だ。カメラの画像が機械学習され3Dモデルに変換され、GPSや深度センサーなどにより目の前のテーブルやビルや道路にコンピュータ情報のメッシュが掛かっていくようなイメージだ。

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知らないことを知るということ

小学生の頃、シャーロック・ホームズに憧れていた。ホームズは、相手が答えを話さなくても、身なりや仕草や一見無関係な会話から出身や職業や真相を看破する。観察して質問して発見してそれらを練って、「知る」のだ。

子供の頃から「知る」ということに強い欲求があった。小学校の頃に新学期で新しい教科書を貰うとすぐに読んでしまって授業は復習のようなものだった。足りないので図書館に通い貸し出しカード上限まで借りてきては読むの繰り返しだった。

「知る」というのも考えてみると種類がある。ここでは、1.暗記、2.型を学ぶ、3.概念を認識するの3つに分けてみよう。この三段階は徐々に抽象度を上げたつもりで並べた。一つ目の暗記は、歴史の出来事や店の名前を覚えるようなことだ。名詞を増やしていく。二つ目の型を学ぶは、プログラミングを習得するとか切符を買って電車に乗る方法を覚えるとかのようなことだ。公式を増やしていく。三つ目は、初めてテレビの中で動く人を見たようなことだ。いまいち上手い例えが思いつきませんでしたが、今まで持っていなかった認識モデルを増やしていくということをイメージしている。 

三つ目は、いざ分類しようとすると難しくて、二つ目の派生のような気もする。例えば、今まで知らなかった考え方を学ぶとは何に当たるのか?二つ目の気もするし、三つ目の気もする。概念を知るということは型を学ぶよりもっと根底から知らないことを知るということな気がするが、今いち線が引けない。そこで、もう少し卑近で類推できそうな事例を見つけたので書き記しておこうと思う。外国語を学ぶことと性格を知るという例だ。

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組織設計にもコンフォートゾーンとラーニングゾーンが両方必要だと思う話

今年冒頭にコンフォートゾーンと心理的安全性の話を書いたが、組織という器でも同じだよなあと思っている。

 

ちょっとサービスが当たって主力事業ができたとか拡大期になって採用ブランディングが重要になったとかで従業員満足度の最大化に走った姿はけっこう見てきている。ソシャゲは利益率高かったしね。

 

キレイなオフィスを内装し手厚い福利厚生やイベントたくさんの楽しい会社ですと喧伝して採用で大人気になる。エンジニア天国ですとブランドになるのもちょこちょこある。専門職をやっていると本当に心理的安全性の存在は重要なので当然だ。集中力によってまったくアウトプットのクオリティが変わるからだ。

 

しかし、従業員満足度の最大化に振って長続きしたところはあんまり無いよなあと直感的に思う。モラルハザードなのかall for oneの焦点がボヤけて力が拡散してしまうのか、それとも内在要因ではなく単に外部環境が主力事業にネガティブな方向に変化したからか。失敗原因はそれこそ100社あれば100通りだろうが。

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私的web3観

web2.0の振り返り

web2.0は革命だった、で良いと思っている派である。けっきょく何が実態なの?という人もたまにいるけど、誰もが表現できるようになったことはホームページでもできるようになっていたので、ユーザージェネレイティッドコンテンツがマネタイズできるようになったことが本質だったと思う。この場合のユーザージェネレイティッドコンテンツという言葉は、プラットフォーマーに対する広義の対義語で用いていて、個人だけでなくサードパーティの法人も含まれる。よって、只のコンテンツと呼んだ方が適切かもしれないが、web2.0っぽいのでこのままにする。個人や何も資本がないスタートアップでもネットでビジネスが成立するようになったので、エコシステムが爆発した。

 

次点として、コンテンツ量が爆発しても、フィルタリングにより人気のあるコンテンツが適切にレコメンデーションされるプラットフォームが生まれたことを挙げる。(ここでは挙げないがインフラの成長もあり)誰でも容易に利用できるのでマスアダプションが加速し、かつ大量消費が可能になったことで、供給量が増えても需要が飽和しなくなった。

 

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自律分散が有用になるのはオートスケールのアトムとして動く時である

「分散」が必ずしも絶対正義でないことは明らかである。有用になるケースは、アトムレベルで分散協調できるようにすることでオートスケールが可能になる場合である。無用になるケースは、リソース拡散する建前として用いられる場合である。

 

言い換えると、後から部品を追加しても支障なく全体を協調拡大できるようにするものだとプラス、既存の塊を砕いて拡散させるだけのものだとマイナス。

 

インターネットのネットワークやUNIX哲学、さらには仮想サーバのように、アトムで自律分散の仕組みができると、後から部品を追加していっても全体が協調拡大できるシステムを作れる。人間が手動でやるよりもコストやリードタイムが下がり、労働集約から資本集約に変化し、天井無しの成長曲線が理論的に可能になりうる。また、特定の主体者への依存が下がることで第3者が参加しやすくなり、集合知の醸成や新しい生態系に進化しやすくなる。

 

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[翻訳] Magicverseは倫理的な基盤を持つ ~Magic Leap CEO Rony Abovitzのインタビュー ~

この記事は、VentureBeatの記事「Magic Leap CEO Rony Abovitz interview — The Magicverse will have an ethical foundationを翻訳したものです。記者のDEAN TAKAHASHI氏より翻訳の了解いただき、私の責任で翻訳させていただきました。ありがとうございます。

 

先に言っておきますが、抽象的な例示が多い上に口語体で文法が崩れているため、難解です苦笑

 

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デジタル資産の著作権

 『デジタルオブジェクトはコピーされたがっている』

去年は、漫画村が話題になっていたが、デジタル資産の著作権や所有権は、たぶんインターネットと同年齢と言っていいくらいに昔から議論されてきたし、贋作を排除するために検索エンジンDRM(degital rights managements)のようにテクノロジー面での挑戦も続いてきた。

 

書籍「インターネットの次に来るもの」でも、もちろんのようにデジタル著作物の問題を取り扱っている。インターネットを対象にしているからどこの章でも絡むといえば絡むのだが、特にフローイング、シェア、トラッキングの章あたりで大きなテーマになっているといえそう。

 

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