イノベーションのジレンマの誤解を解く

クリステン教授の処女作である「イノベーションのジレンマ」は、「破壊的イノベーション」という言葉とともに、出版から25年ほど経ちたいていのビジネスパーソンなら名前だけは聞いたことあるくらいに知れ渡っているのではないだろうか。私は15年前くらいに…

[魚拓] 肩をすくめるアトラス

「なぜインターネットやソフトウェアではアメリカからばかり発生確率が0.1%のような傑出したイノベーションが生まれるのだろうか?」という問いを持っていた。 本ブログでも繰り返し取り上げていたが、新卒時代から長年疑問に思っていたことで、会社では上司…

[翻訳] Self Sovereign Identity, TBD, and Web5

Web5のソフトウェアにおけるビジョンや開発手法を説明する記事を翻訳しました。 developer.tbd.website 翻訳の原本はこちらに置いています。誤訳などありましたらコメントください。 https://gist.github.com/studioTeaTwo/7aead51aa7f3341eb96cc64ff87bd816…

知的好奇心の対象を世の中で既知か未知かで分類する

知的好奇心とは物事に興味・関心を抱きもっと知りたいという欲求のことだが、その対象により2種類に分かれるなとふと思った。 誰かが解き明かしているけど自分がまだ知らないもの まだ世の中で解き明かされていない未知のこと 1は、小学生以降の勉強のような…

Web5 ファーストインプレッション

もう10日以上経つが6/10の深夜に電撃的にWeb5が発表された。Twitterで「Web5」の文字やミーム画像がぞろぞろ流れ始めてきたときは冗談だと思ったが、スライド資料*1を読み進めるといったいどこで笑えばいいんだろうと困惑が大きくなる一方だったくらいに、本…

OSSのもう一歩先

OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)のもう一歩先とは、ソースコードの共有だけでなく、ネットワークで今実行されているコードまで公開されるようになったことを指している。そのようなサービスは、OSS開発やWikipediaと同じように、「御伽とバザール」で…

「ビットコイン・スタンダード」と「財政赤字の神話」にショックを受けた話

去年事業に失敗した。原因は力不足という一言だが、去年から今年は幻想を取り今ここに向き合う期間だった。 事業の失敗とパンデミックの顕在化は同時期でありどちらが先だったかはもう忘れたが、関心はどんどん「社会」の方へ向いていった。 特に息を呑んで…

[魚拓] 2020年

パンデミックでオンライン化が加速 ・パンデミックで加速 ・MicrosoftナデラCEO 「この2カ月で2年分のデジタル改革が行われた。」 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2004/30/news046.html ・印鑑廃止 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2010/…

[要約] reactの設計背景: 公開するAPIは最小限に -フレームワークを使わずにパターンを習得せよ-

日米のものづくりの比較分析は経営学や工学ではポピュラーなテーマだと思いますが(個人の見解です)、代表的な一つにアメリカはゼロイチが得意というものがあります(個人の見解です2)。 大胆に素早くアイデアを形にして、粗い品質でもパッと市場に出して…

自立するために役立つ本

ブログのタイトルを「悠々自適」と名付けていることに特に深い理由は無いんだけど(ネトゲでギルマスしていた時のギルド名の一つだったくらい)、この4文字熟語への思い入れはともかく、「自由」というものへの欲求は人並みならぬものを持っているという自覚…

[翻訳] Mozilla Hubsのシークレットマスタープラン

「The Secret Mozilla Hubs Master Plan」の翻訳です。 この記事は、AltspaceVR(2017年にMicroSoftが買収)の共同創業者で現在はMozillaでエンジアリングマネージャーを勤めているGreg Fodor氏が、HubsとSpokeの戦略を説明したものです。 まずウェブが「焦…

第三世代のミラーワールド

ミラーワールドで世界の残りすべてがデジタル化される 第一世代のwebでテキストがハイパーリンクされ、世界中の情報が繋がった。第二世代のソーシャルメディアで個人がメディアになり、ソーシャルグラフにより人が繋がった。そして第三世代のプラットフォー…

知らないことを知るということ

小学生の頃、シャーロック・ホームズに憧れていた。ホームズは、相手が答えを話さなくても、身なりや仕草や一見無関係な会話から出身や職業や真相を看破する。観察して質問して発見してそれらを練って、「知る」のだ。 子供の頃から「知る」ということに強い…

組織設計にもコンフォートゾーンとラーニングゾーンが両方必要だと思う話

今年冒頭にコンフォートゾーンと心理的安全性の話を書いたが、組織という器でも同じだよなあと思っている。 ちょっとサービスが当たって主力事業ができたとか拡大期になって採用ブランディングが重要になったとかで従業員満足度の最大化に走った姿はけっこう…

私的web3観

web2.0の振り返り web2.0は革命だった、で良いと思っている派である。けっきょく何が実態なの?という人もたまにいるけど、誰もが表現できるようになったことはホームページでもできるようになっていたので、ユーザージェネレイティッドコンテンツがマネタイ…

自律分散が有用になるのはオートスケールのアトムとして動く時である

「分散」が必ずしも絶対正義でないことは明らかである。有用になるケースは、アトムレベルで分散協調できるようにすることでオートスケールが可能になる場合である。無用になるケースは、リソース拡散する建前として用いられる場合である。 言い換えると、後…

[翻訳] Magicverseは倫理的な基盤を持つ ~Magic Leap CEO Rony Abovitzのインタビュー ~

この記事は、VentureBeatの記事「Magic Leap CEO Rony Abovitz interview — The Magicverse will have an ethical foundation」を翻訳したものです。記者のDEAN TAKAHASHI氏より翻訳の了解いただき、私の責任で翻訳させていただきました。ありがとうございま…

デジタル資産の著作権

『デジタルオブジェクトはコピーされたがっている』 去年は、漫画村が話題になっていたが、デジタル資産の著作権や所有権は、たぶんインターネットと同年齢と言っていいくらいに昔から議論されてきたし、贋作を排除するために検索エンジンやDRM(degital righ…

空間インターフェースのブラウザを考える

edge撤退とこれからの姿 空間インターフェースの中で、これまでのブラウザ技術を基盤として、デスクトップアプリのように種々のアプリケーションを実行する姿を想像しています なぜブラウザを引き継ぐのか? 1. 既存のインターネット資産が膨大にある 2. 新…

コンフォートゾーンから外れることと心理的安全性を高めることは融合する

去年の流行語大賞は『コンフォートゾーン』だった もちろん、個人的な話で、世代的に通じる人ならみうらじゅんのマイブームってやつだが、そうだった。言葉自体は前から知っていたが、急速に意識するようになったのは去年だった。 コンフォートゾーンとは「…

海の向こうの動向についてstartupからsmall businessへのチェンジに注目している

海の向こうの動向は、自分にとってはstartup(エグジット至上主義)からsmall business(中小企業)へのギアチェンジが関心どころだ。 The American dream is back. We’re going to create an environment for small business like we haven’t had in many, many…

HololensはVRの延長として語るよりもインターフェースの革新として語る方が適切だ

Hololensの開発者版が日本でも発売されて、あちこちでHololensの記事を目にするようになった。 相変わらずVRの延長として語る向きが多いが、HololensをVRの延長でMRだとか位置付けるのは矮小化した話である。*1 なぜなら、Hololensがカバーしている利用用途…

ソニーとズートピアとオバマから理想を言葉で語る大切さを実感した話

ソニーが騒がしい。かつての立役者だった人たちが次々と現役経営陣を痛烈に批判している。 business.nikkeibp.co.jp 時期が重なっているからだろうけど、一連のソニー記事を、ズートピアやオバマ広島演説とつなげて考えてしまう。